糖尿病、骨粗鬆症,金属アレルギー等の問題がある場合のインプラント治療に関しての対処法。
(1)糖尿病
糖尿病の場合、血糖値がよくコントロールされていればインプラントが可能です。長期的にみてもそれほど悪い結果にならないようです。
コントロールが悪い場合、インプラント周囲の骨がうまくつくられないことが動物実験からわかっており、最近の報告でもコントロールの悪い糖尿病の方は
インプラントの適応症ではないといわれてます。
インプラント治療をおこなうコントロールの目安としては、食事指導や飲み薬により、空腹時の血糖値が110未満、食後2時間での血糖値が140未満に
抑えることが目標です。
(2)骨粗鬆症
骨粗鬆症は骨量が低下し、骨が弱くなることで骨が折れやすくなる病気です。加齢にともない、また閉経後の女性に多く発症します。
最近の報告では性別や年齢によって、また閉経後の女性で特にインプラントの予後がわるいということはないようです。
(3)金属アレルギー
インプラントに使用されている金属はチタンです。軽くて非常に強い金属で、医科では整形外科領域で大腿骨頭部の人工関節や骨折時の固定用のボルトとして用いられてます。
金属アレルギーは金属がイオン化(溶け出す)ことによってたんぱく質と結合して抗原となり、アレルギーを引き起こすと考えられています。このため、一般に腐食を
起こしやすい金属がアレルギーを引き起こしやすく、ニッケル、水銀、パラジウム、コバルト、クロム、スズなどが特にアレルギーを引き起こしやすいと考えられます。
金やプラチナもアレルギーを引き起こすことがあります。
チタンはその表面に酸化チタンの薄い層が存在し、その結果、非常に高い耐腐食性や生体親和性を持っています。一般的にはアレルギーを引き起こさないと考えられております。アレルギー体質の人はまずイオン化しやすい金属でアレルギーを引き起こすことが多いと考えられます。治療の施された口の中には他にも
イオン化しやすい金属が多く存在しており、それらの金属で異常のない方は頻度から考えてもチタンのアレルギーはまず考えなくてよいでしょう。
どうしてもご心配な方はチタンでのアレルギー検査をする方法もあります。
(4)高血圧症
一般に不安や緊張があると、脈拍や血圧が上がります。インプラント治療を初めて受ける方は、緊張のためかインプラント室に入ると普段より20−30程度
血圧が上昇する場合があります。また、歯科の局所麻酔薬にも血圧を上げる作用があり、高血圧の方には局所麻酔にも工夫が必要です。
血圧は、ある程度なら下げることが可能ですが、あまりにも血圧が高い場合は、心臓にも負担がかかるため処置が不可能です。血圧が高い場合、年齢や普段の生活状況にもよりますが、内科を受診していただき、薬を内服して、140−150程度にコントロールしてもらうことが必要でしょう。
(5)心臓、腎臓、肝臓の病気
心臓の病気で頻度の多いのは狭心症や心筋梗塞です。日常生活程度で息切れや胸の痛みを生じる場合はインプラントの処置を見合わせたほうがよいでしょう。いずれにしても担当医師同士が緊密な連絡を取り合って処置に臨む必要があります。
高度に腎機能が悪い場合、感染症を引き起こしやすく、抵抗力がおちているためインプラントが使えないと考えられ、ひかえたほうが良いでしょう。
肝臓の機能が低下してる場合は、血がとまりにくく、薬の内服によってさらに肝機能が低下するなどのリスクがあります。医科の主治医と連携しながらの治療になります。
(6)口腔内乾燥症
入れ歯は口の中の唾液が吸着力となって動揺を抑えます。唾液の量が極端に減った口腔内乾燥症では入れ歯が動きやすくなります。
最近の報告ではこのような例はインプラントの適応症であるとされています。
(7)歯科治療恐怖症
歯科治療に極端に恐怖心を持つ方がいらしゃいます。頭では治療の必要性がわかっていても、いざ治療となると自分がコントロールできなくなるようです。
頭では治療の必要性がわかっていても、いざ治療となると自分がコントロールできなくなるようです。このような方の場合、鎮静剤を使えば普通に治療が受けられます。
(8)嘔吐反射の強い人
入れ歯は異物感があり、人によっては、その大きさに思わず吐きそうになる方がいらしゃいます。入れ歯によって嘔吐反射を起こしてしまうのです。
このような場合はインプラントが適応です。インプラントの場合、自分の歯と変わりなく被せ物を装着でき、異物感がないため嘔吐反射の強い人でも問題なく使用できます。治療に際しての嘔吐反射を抑える為には、低周波を利用した針麻酔や、そでに述べた鎮痛剤を使用して対応すればスムーズに治療ができます。
(9)治療年齢制限は?
インプラントは何歳から可能でしょうか?
一般的には骨の成長が終わった時点で可能と考えられてますので、18歳前後で可能といえますが、理想的には20歳程度から適用と考えたらよいでしょう。
インプラントは何歳まで可能でしょうか?
インプラントは年齢が高くなると失敗が増えるということはありません。患者さんの強い希望があれば80歳でも可能です。
(10)タバコの害
タバコに関してはかなり手厳しいことが書かれている文献が多く「ヘビースモーカーはインプラントを用いず、入れ歯や自分の歯を削ってブリッジしなさい」とまで書いてあるものもあります。理由は、タバコを吸っているとインプラントが骨につかなかったり、骨の吸収が進んだりすることがあるからです。
タバコを吸うと、血液の酸素を運ぶ能力が落ち、末端の細かい血管の血の流れが悪くなります。歯茎や歯槽骨はちょうど末端になるため、インプラントの予後や手術後の治りが悪くなるのです。タバコはできるだけ控えたほうが賢明といえます。 |